五人が同じところで手を止めた
セッションのあとの報告会、木曜
リサーチ 五人終わりました。うち四人が同じところで手を止めています。四月にもめた設定の画面です。
デザイナー どこで止まるんですか。
リサーチ まず設定でフォルダを探します。うちが持っているのはタグだけなので、そこで止まる。メンタルモデルのほうが強いです。
PM 五人中四人は、社外に出せる数字ではないですね。二つ目の課題のタスク成功率は。
リサーチ 五人中三人。終えた二人は、タスク所要時間が倍になりました。数字より先に録画を見てほしいです。
デザイナー 二人目、一分近く黙っていましたよね。何を読んでいたのか、いまだにわかりません。
リサーチ そこは私の落ち度です。思考発話法を二回お願いして、三回目でやめました。三人目では、こちらが答えを先に置いてしまった。誘導質問です。
PM そもそも、来ていたのは誰なんですか。前回はスクリーナーが緩くて、詳しい人ばかり通りました。
リサーチ 絞りました。二人は火曜まで製品に触ったこともない人です。
デザイナー 次は非モデレートテストで、一晩に二十人ぶん取れませんか。
リサーチ 押した順を追うだけならできます。あの一分の沈黙は、誰も代わりに記録してくれません。
デザイナー その前にヒューリスティック評価を一周します。原則で拾えるものに人の時間を使わずに済むので。
PM では明日、発言を壁に貼って親和図法から。そのあと、この画面がJTBDで何を頼まれていたのかに戻りましょう。
録画はすべて残っています。もめるのはそこではありません。部屋に出た言葉のどれがどれを指していて、ぶつかったときに誰が決めるか。それに一時間かかります。

調査の話は、誰が来たかから、何のためかへ進む
はじめは部屋の話です。誰を呼び、どう訊き、黙ったときに進行役が何をしたか。あとに残るのは、その部屋を出ても使えるもの。二つの数字と、壁に貼った発言と、その人が本当に片づけたかった用事の一文です。
ユーザビリティテストUsability testing
実際の課題を人にやってもらい、どこで詰まるかを見つける調査。
ユーザビリティテストは木曜、5人、課題は前回と同じ。
その一時間そのものを指します。報告会で議論になることは、どれもここから流れ出てきます。
スクリーナーScreener
応募者を、その調査の条件に合う参加者だけに絞り込む短い質問票。
スクリーナーがまた甘くて、ヘビーユーザーばかり通ってしまった。
勝負は、誰かが席に着く一週間前についています。何も得られなかった回の責任は、たいていここに戻ってきます。
思考発話法Think-aloud protocol
参加者が作業しながら考えを口に出す手法。操作の理由まで聞き取れる。
黙り込むたびに、思考発話をお願いしますと声をかけた。
進行役の仕事を三文字で言ったもの。これが途切れると、記録に残るのは指の動きだけになります。
誘導質問Leading question
答えを暗に示してしまう聞き方。気づかないうちに調査結果を歪める。
「ボタンは一つが楽ですよね」は誘導質問。前回どうしたかを聞こう。
セッションが、進行役への同意へ静かに変わっていく道。全員が規則を知っていて、全員が四十分あたりで踏みます。
タスク成功率Task success rate
助けを借りずに、その課題をやり遂げた人の割合。
タブの名前を変えたら、タスク成功率が60から85へ上がった。
チームの外まで運ばれていく数字。だからこそ、何人でやったかを添えずに引用されます。
タスク所要時間Time on task
課題を終えるまでにかかる時間。使いやすさの物差しとして使う。
タスク所要時間が半分になり、今回は問い合わせもゼロだった。
同じ報告書に並んで、別のことを言います。片方はやり遂げたかどうか、こちらはいくら払ったか。
メンタルモデルMental model
仕組みについて人が既に持っている思い込み。画面はそれに沿うか、逆らうかのどちらか。
相手の頭はフォルダ、こちらはタグで出した。混乱の原因はそれだけ。
同じ画面が、作った側には当たり前で、ほかの全員には読めない理由。画面とぶつかったとき、負けるのは画面のほうです。


非モデレートテストUnmoderated testing
進行役を置かず、参加者が一人で課題を進め、ツールが記録する調査。
非モデレートで一晩回したら、朝には20セッション集まっていた。
一週間の進行では足りない数が要るときに手が伸びます。数は安く、理由は聞こえません。
親和図法Affinity mapping
調査の生メモをまとまりへ寄せ、データの側からテーマが浮かぶのを待つ整理法。
午後いっぱい親和図法で、インタビューの発言を六つのテーマに束ねた。
生の発言と、動かせる結論のあいだにある午後。ここを飛ばすと、いちばん大きな声だった場面を覚えている人が結論になります。
ヒューリスティック評価Heuristic evaluation
利用者を呼ばず、専門家が既知の使いやすさ原則に照らして画面を点検する評価。
人を集める前に、ヒューリスティック評価で明らかなものは潰しておこう。
人を呼ぶ前に済ませて、本番の時間を分かりきった問題に使わないための一手。人の代わりにはならないのに、代わりに使われます。
JTBD(ジョブ理論)Jobs to be done (JTBD)
製品を機能の束や利用者像でなく、人がそれを雇って片づけたい用事として捉える見方。
JTBDで仕様を書き直したら、機能リストの半分が意味を失った。
調べた結果どうしが食い違ったとき、部屋が戻ってくる問い。利用者像とよく取り違えられますが、あちらは誰か、こちらは何のためか。

六週間後に、次の回がある
同じ言葉で、別の画面を見ます。五人中三人に意味があるのかという言い合いも、たぶんそのまま。数字を持たされているのは、そのときのあなたです。
質問と答え
製品まわりのほかの言葉は。
トピックのページに、150語すべて。ここにあるのは十一語で、ひとつの報告会に出たぶんです。
なぜ英語が並んでいるのですか。
半分は英語のまま耳に入り、議論は日本語でします。両方を並べておけば、残りの半分を当てずっぽうで埋めずにすみます。
説明はどこから。
「プロダクトとUX」のトピックから。アプリと同じカードです。

